コラム
土壌汚染の情報公開で大切な「6つのポイント」知って得する、土壌汚染の新常識
土壌汚染対策は企業にしてみれば、できるだけ人に知られたくない、触れてほしくない、できれば放っておきたい、という類の事象だと思います。土壌汚染対策をすることにより、何の利益も生み出さないどころか、マイナスのイメージを広めかねないと考えしまうのも無理はありません。そのように考えて状況を放置した場合、往々にしてかなり状況が悪化してから周辺の井戸などで汚染物質が検出されてしまい、意図せずして公の問題と化してしまうケースが多いようです。
継続的に情報公開を
本来であれば、本質論から冷静な判断をしなければならないところですが、目先の経費や利益の問題、担当役員を始め経営陣の考え方など様々なブレーキがかかって、結局放置してしまうのです。ですが、放置することが問題の悪化と企業イメージダウンに繋がるのです。
つまり様々な理由があって、状況が悪化するまで放置してしまうところに問題があります。ポイントは、状況が悪化する前に、問題がわかった時点から継続的に情報を公開していくことです。情報を公開することは企業の利益に反すると考えがちですが、全く逆の発想で対応すべきです。
外部への情報公開の際には、下記の点が重要です。
- 土壌汚染がわかった時点でなるべく早く公開する。
- わかりやすく事実を公開する。
- 現時点で計画されている調査(調査後であれば調査結果)の概要を説明する。
- 今後、(進捗があってもなくても)定期的に情報を公開することを約束する。
- 事前に役所の了解を得ておく。
- 先の見える形での報告内容とする。
周辺住民の反発を招くのは、企業が何を考えているのかわからない、情報公開しても内容が中途半端で客観性がない、先が全く見えない、等の理由があるからです。
納得と安心を獲得する
土壌汚染に対して積極的に対応をしていきます、という姿勢をまずは見せ、その後の情報公開では、対策の進捗状況、環境リスク、周辺住民への影響などのデータを示しながらわかりやすく説明します。その過程で、もし暫定的な汚染拡散防止処置等が必要であればその手法の説明と、周辺環境への影響は無い旨の説明をしていきます。当然ですが、全ての説明の背景には、根拠となるデータとその評価・解釈が必要です。発表内容に客観性を持たせることが大切です。
最後の点が最も重要ですが、調査や対策を進めることで確実に状況がよくなっていくことを示さなければなりません。単に情報公開をして事実を示しても、いつそれが解決されるのかがわからなければ、結局周辺住民の方々は納得も安心もできません。この納得と安心を獲得することが情報公開の最大の目的です。これを得るために情報公開をし、ひいては企業のイメージアップにつなげていくきっかけとするのです。
積極的な情報公開は円滑な浄化対策を進めていく上で、重要な要素です。
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執筆者プロフィール
鈴木 喜計 (すずき よしかず) 氏
君津システム株式会社
代表取締役
1973年君津市役所に入所。31年間公害問題の調査研究・技術開発に従事し、土壌・地下水汚染の調査手法や浄化技法の開発・検証・普及に努める。
いままでに実施した地質汚染調査・浄化の実績は海外を含め100件を超え、240もの学術論文/研究発表、13巻の著書(共書)を持つ。その専門性が認められ、平成9年に起こった日本初の地下水汚染事件での鑑定人や平成14年土壌汚染対策法での国会参考人を担当、土壌環境基準設置委員(環境省)、廃棄物処理法改正委員なども歴任した。平成16年に「君津システム株式会社」を起業し現在に至る。
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