コラム
難解な廃棄物処理法の条文
-分かりやすく整理が必要-【後編】堀口昌澄の「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」
本シリーズでは、アミタグループの堀口昌澄が2011年2月9日から2012年7月11日の間、環境新聞で連載していたコラム「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」を一部ご紹介します。内容はあくまで議論のたたき台という位置づけのため、皆様からのご意見も頂戴したいと思います。
今回ご紹介するテーマは「難解な廃棄物処理法の条文 (後編)」です
※前半はこちら
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合理的で分かりやすい法律に
中間処理と最終処分の定義を正しく理解していないと、契約書もマニフェストも適切に作成、内容確認をすることができません。特に最終処分に再生が含まれているということをプロであるはずの処理会社ですら理解していないことがあります。
分かりにくい場所に定義があるというのも一因ですが「最終処分」という言葉が持つ「埋立」のイメージのせいでもあります。廃棄物処理法は当初「再生」をほとんど想定せずに作られていたところ、再生が活発になり、最終処分に含める必要が出てきたからこのような対処をしたのでしょう。
例えば「再生埋立」とすれば誤解もなく、しかも再生が上位概念として位置づけられるのでよいネーミングだと思います。教育・研修の場等で誤解を解く時間とエネルギーを考えれば、今からでも遅くないので、用語の変更を検討していただきたいところです。
他にも「専ら物」の処理については処理業許可とマニフェストが不要という例外規定がありますが、これらの規定は、施行規則8条の2の8、同8条の3、同8条の19、法第14条第1項、法第14条第6項に記載してあります。
これを探すのは困難ですし、他に例外規定がないかを確認するためには、法律全体を読み直さなければなりません。しかも「専ら物」の具体的品目は通知に書いてあるのですが、条文からはそのことは分からないし、通知の名称が「専ら物の品目指定について」のように分かりやすければよいのですが「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務の取扱いについて」という、分かりづらい名称となっているのです。専ら物の定義や例外規定をどこか1カ所に記載すればこのような問題は避けられると思います。
改め文の分かりにくさ
分かりにくい条文の極めつけは「~法律の一部を改正する法律」です。これはよく「第○条中「△□×」を「△□□」に改め「◎○」の下に「■■」を加え...」と記載されるため、それだけでは意味が分かりません。「改め文」と言われるようですが、実際はこれとは別に作られる新旧対照表で改正内容を確認するので、国民としては支障はありませんが、そもそも両方作るのは非効率なのではないでしょうか。新旧対照表に補足説明をつけるという方法でも国会に提出できるようにはならないのでしょうか。
弊社のセミナー、コンサル、書籍の販売が好調であることの一因は、法律が分かりにくいところにもあるのでしょう。しかし、クライアントからは何とかしてほしいという要望を頻繁にいただいています。廃棄物処理法の社会的な認知度を上げるためにも、合理的で分かりやすい法律に改正する必要があると考えています。
関連情報
環境新聞ブックレットシリーズ◎10
「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」
改正廃棄物処理法について、依然として法律の問題点や改善すべき点を指摘する声は多くあります。アミタ 堀口による環境新聞連載「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」では、2011年2月から約1年半にわたり、廃棄物処理法のあるべき姿、改正案についての提言を行ってきました。「環境新聞ブックレット」はこの連載をまとめたもので、排出事業者、処理業者そして行政と、廃棄物処理にかかわる全ての人に興味深い内容となっています。
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執筆者プロフィール(執筆当時)
堀口 昌澄 (ほりぐち まさずみ)
アミタ株式会社
総合環境ソリューション営業グループ
ナレッジソリューションチーム 主席コンサルタント(行政書士)
廃棄物のリスク診断・マネジメント構築支援、廃棄物関連のコンサルタント、研修講師として活躍中。最近では、廃棄物処理業者の評価/選定システムの構築も行っている。個人で運営しているブログ「議論de廃棄物」も好評を得ている。『日経エコロジー』にて廃棄物処理法に関するコラムを連載中。
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