コラム
今日からできる!社員を巻き込むCSR活動(その3)
「攻め」と「守り」のCSRの違い 今日からできる!社員を巻き込むCSR活動
前回は、社内の活動を整理して、既にある取り組みを活用しましょうとお伝えしました。今回は活動を普及させる際に抑えておくべき「攻め」と「守り」のCSRの違いについてお伝えします。
「攻めのCSR」と「守りのCSR」
日本企業は、法令順守の言葉のもと、厳しい組織統制を強いてきました。そのため、環境部、そしてその流れを組んで法令遵守を重視したCSR部も多いです。法令遵守は企業が果たさなければならない最低限のルールとして、最初に取り組むのは当然のことでしょう。しかしCSRとは法律さえ守れば果たされる、というものではありません。そこでCSRを2つに分けて考えます。
- 必要条件:ルールを守る(法律や国際規範の遵守) =「守りのCSR」
- 十分条件:企業の存在を通じて社会に貢献する =「攻めのCSR」
※筆者定義
「守りのCSR」には、経済的責任(取引先や従業員へきちんとお金を払うこと等)も含まれています。 一言で言うと「守りのCSR」は果たさないといけないことであり「攻めのCSR」は企業の自主性が問われる部分です。今CSRご担当者様が悩まれているのは「守りのCSR」がある程度進み「攻めのCSR」がポイントになってきているからだと思われます。
要点の違い
「守りのCSR」と「攻めのCSR」は性質が違いますので、活動の評価基準や進め方も異なって当然です。「守りのCSR」は底上げで「攻めのCSR」はトップランナー方式をとるのが良いでしょう。
「守りのCSR」に関係する法令遵守について考えましょう。例えば、法律違反は1つでも出れば企業として大問題です。ルールの自主解釈にも限度があり、忠実に実施することが必要です。違反すると罰則や企業イメージダウンにつながるため、最低限の要求を必ずクリアすること、失敗しないことが重要になります。一方、担当者の方は理由を詳しく説明しなくても「決まりだからやらないといけません」で済みます。説明するにしても「違反したらどうなるか?」「何が違法行為なのか?」という部分がメインでしょう。
「攻めのCSR」は中長期的には必要不可欠のものですが、企業の自主性に任されます。なぜその活動が必要で、企業活動にどう影響するかが理解されなければ、なかなか実施できないでしょう。 そのため、前回お伝えしましたとおり、既にやっている活動やできている人に光を当てていく方式が良いでしょう。
自主的に挑戦することに対して企業として賞賛する姿勢や、既にやった人がどのような効果を得たのかを、きちんと社内外に打ち出すことが大切です。 日本はこれまで「守りのCSR」を重視して取り組んできたため「攻めのCSR」に対しても守りのCSRと同様に進めてがちです。現場に、負担感とやらされ感が出ているケースも多く見られます。進めている活動が「守り」なのか「攻め」なのかをきっちり整理した上で、進め方について検討するのが良いでしょう。
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執筆者プロフィール
蝦名 裕一郎
アミタホールディングス株式会社
経営統括グループ 共感資本チーム
アミタ株式会社に入社後、コンサルティング部門を経て、企業の環境教育活動のプロデュース、省庁との地域活性化支援事業の運営等に携わる。 ソーシャルビジネスに関する新規事業部門を経て、現在はCSRレポートの横断検索サイト「CSR JAPAN」の運営とCSRコミュニケーションの分析、コンサルティング業務に従事。
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