コラム
本業に貢献する「社員のためのCSR」―NPO等の専門性を活かす―リレーコラム
前回の記事では「社員のためのCSR」は、本業に貢献しやすい活動であること、専門性が必要な場合にはNPOや社会的企業とパートナーを組むのが良いということを述べました。 (facebookの「いいね!」を50件近くいただき、ありがとうございました!)
今回は「社員のためのCSR」を推進する上での本社と現場の役割や、主体別の課題について、書いていきます。
本社と現場、それぞれの役割
「社員のためのCSR」の一つが「プロボノ活動」です。これは、企業等の社員が、NPOや地域の団体のためにその専門性を活かしてボランティアをすることを指します。社員のスキルアップや「仕事のやりがい」の実感と、社会への貢献を両立させる取り組みとして、近年広がりを見せています。 日本では、サービスグラントという専門のNPOが、企業とクライアント団体の間を取り持つコーディネート団体のトップランナーのひとつとして活躍しており、この団体の力を借りている企業もあります。
プロボノのような、社員のためのCSRにおける本社の役割は、活動全体の企画や運営管理、効果測定です。
一方、拠点・現場の大切な役割は、積極的に活動に参加すること、活動に参加して感じたことを社内にフィードバックすることです。
本社が無理やりCSR活動に現場の社員を巻き込もうとするよりも、現場の社員同士が参加を呼びかけあったり、活動の感想を共有する状況をつくりたいものです。
誰が、現場のやる気を高めるか
では、そのような役割には、どのような社員が適任なのでしょう?
例えば、学生時代にNPO活動に参加していた社員は、NPOの専門性を借りたり、NPOを相手とする社会貢献活動をする際に、積極的な参加や社内へのポジティブなフィードバックをしてくれる可能性が高いといえます。
また、活動のテーマによっては、自らが「当事者」である社員も、先導役になってくれる可能性があります。友人を自殺で亡くした経験を持つ社員が、社員のメンタルヘルスを守るCSR活動の意義を周囲に説く、といったケースです。
ただ「社員のためになるCSR活動だから」というだけでは、社員を巻き込むのは難しいこともあるでしょう。
そのような時は、上記に挙げたような「CSR担当者ではないが、自分の関心とCSR活動を重ね合わせて、積極的に動いてくれる現場の社員」をどれくらいたくさん動員できるかが、会社全体を巻き込んでいく際の、ひとつのカギとなります。
少子高齢化によって労働力が不足し、また自殺者が年間3万人を越え、日本全体がグローバルな競争にさらされる今、社員のメンタルヘルス確保やスキルアップのためのCSR活動は、社会的にも大きな価値があります。
NPOや社会的企業のノウハウを上手く取り入れ、現場の鍵となる社員をまずは巻き込みながら、有意義なCSR活動が1つでも多く展開されることを願います。
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執筆者プロフィール
渡邉 文隆
アミタホールディングス株式会社
経営統括グループ 共感資本チーム タスクリーダー
京都大学総合人間学部卒業。デジタルハリウッド大学大学院修了。2000年から国内外のNPOでファンドレイザー/プロジェクトリーダーとして活動。現在はアミタグループで省庁やNPOのウェブ戦略/マーケティング支援に携わるとともに、CSRとマーケティングに関するセミナー講師を担当。 アックゼロヨン・アワードや企業ウェブ・グランプリ等のウェブ関連アワード、論文等で複数受賞。
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