コラム
環境・CSR業務の現状と今後求められる人材要件とは?(2/4)-あなたの会社はCSRを本気で考えていますか?リレーコラム
部署名がCSRの取り組み姿勢を表すことについては前回お伝えしましたが、本音のところでは、どんな部署名になっているかに関わらず、コストセンターと考えている企業も多くあるようです。
その原因の一つは、企業のCSR部門の成り立ちにあります。もともと、日本のCSR部は公害対策の環境部門から活動をスタートさせている企業が多く、どちらかというとコンプライアンス重視の姿勢が見受けられます。
各企業のCSR部の組織を以下の四パターンに分けて考えてみましょう。あなたの会社のCSR部はどの組織体系に当てはまりますか?
(1)専任不在 非日常委員会型
普段は環境部や広報部などの業務をやりつつ、定期的な委員会の時や、CSRレポート作成などのプロジェクトの時だけ召集され、CSR活動を担当する形。
(2)「守り」型
環境安全管理・廃棄物管理などの、コンプライアンスに重点をおいて形成されてきた部署が発展し、総務関連・管理部門(法務、人事、経理、財務)などリスクマネジメントに携わる部署が加わった形。B to Bの企業に多く見られます。
(3)マーケティング重視型
主に広報部、マーケティング部などの部署がCSR部門になった形。社外への発信やPR等に力を入れているため、報告書がカタログや社内報のように、個人向けのわかりやすいデザインや記載になっている傾向があります。 B to Cの企業に多く見られます。
(4)経営直下型
経営企画、社長室などの部署がCSR部門になった形。経営直下ということもあり、企業のCSR活動と経営の距離も近いです。トップダウンのため、CSR方針と経営理念の連携などは図りやすい一方で、環境管理や営業といった、現場の理解が得られるかが鍵です。
経営者が気になるのは「CSRに取り組むことで、どれだけ会社にとってのメリットを得られるのか?」という点です。もちろん、環境の商品やサービスであれば、その売上高が利益に貢献するので目に見えるのですが、残念ながらCSR活動が売上や利益にどれぐらい貢献しているのかを明確に伝えることは難しいです。ある意味、CSR業務というのはマーケティング活動と一緒だと考えられます。
次回は、環境やCSRの仕事内容についてご説明します。
(Photo by d'n'c.Some rights reserved)
執筆者プロフィール
猪又 陽一
アミタホールディングス株式会社
経営統括グループ 共感資本チーム リーダー
早稲田大学理工学部電気工学科卒業。株式会社ベネッセコーポレーションにて理科教材編集やダイレクトマーケティングを経験後、外資系ネット企業の日本法人やネットビジネスの立ち上げに携わる。その後、株式会社リクルートエージェントにて新規ビジネスを軌道にのせた後、アミタに合流。現在、環境や CSR分野におけるマーケティング・仕事・教育をテーマに研究開発。2010年企業ウェブ・グランプリBtoB部門受賞サイト「おしえて!アミタさん」(http://www.amita-oshiete.jp) や「CSRJAPAN(※1)」をプロデュース。2011年、宣伝会議にて「BtoBマーケティング」の有料セミナー講師など幅広い活動を展開。Twitter:http://twitter.com/inoyoko1226
(※1)CSRJAPAN・・・2010年11月4日~2017年6月29日までアミタ(株)が運営していたWebサイト。2017年6月29日以降は「おしえて!アミタさん」サイトに統合。
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