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誰も教えてくれない「再委託」のカラクリ(その3) ― それでも「再委託」が必要な場合の手順と注意点BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

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前回までは、廃棄物処理再委託の法律的根拠について見てきました。排出事業者がその責任を果たすためには、排出事業者が意図したとおりに廃棄物が流れていくことが必要であり、これの妨げとなる、排出事業者の知らないところで行われる廃棄物の横流しや処理の丸投げは認められません。

したがって、排出事業者は、処理業者の能力をそれぞれ確認した上で、必要な処理を適正に行う能力を持った業者と直接契約を結ぶべきです。しかし、排出事業者があらかじめ書面で承諾をしている場合には、このような趣旨に反するものではないため、施行令で定める再委託基準を満たした場合、その他省令で定める場合には再委託を可能としています。

なお、排出事業者は、産業廃棄物の発生から最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために、必要な措置を講ずるように努めなければならず、再委託を承諾した場合であっても、当該再委託についての責任が生ずることは当然のことです。

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再委託契約(承諾)書の法定記載事項

再委託は、あらかじめ、再受託者の氏名又は名称及び事業の範囲を明らかにし、排出事業者から書面による承諾を受けるなど、法で定める手続きをすることが必要です。承諾に係る書面は、法で定める事項が記載されたものでなければなりません。

また、受託者は排出事業者と締結した委託契約書に記載されている記載事項が書かれた文書を、再受託者(受託者から産業廃棄物の処理を受託した処理業者)に交付しなければなりません。

さらに、別途受託者と再受託者の間で再委託契約を締結する必要があります。この承諾書に記載しなければならない事項は、省令で次のように具体的に規定されています。

  1. 委託した産業廃棄物の種類及び数量
  2. 受託者の氏名又は名称、住所及び許可番号
  3. 承諾の年月日
  4. 再受託者の氏名又は名称、住所及び許可番号

たった4項目ですから、意外と少ないと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、再委託は、そもそも事業者と受託者間では「書面による委託契約書」が締結されている内容を、別の業者に受託者と再受託者の契約により、いわば「下請」させる行為です。

このことから、承諾書の他に、元々の事業者と受託者間の契約書、受託者と再受託者間の契約書が別途存在している訳です。そのため、承諾者の事項としては4つの事項程度で十分と考えたのかもしれませんね。

再々委託は全面禁止

産業廃棄物においても、処理業者の再々委託は例外なく禁止されています。したがって当初から再委託を前提とした委託契約を結んだ場合、再受託者の車両が故障するなどしても、さらに委託(再々委託)をすれば違法行為となり処罰の対象となりますから「後がない」という感じですね。

再委託時のマニフェスト管理

最後に、再委託の際の紙マニフェストの取扱いについて、お話ししておきます。
産業廃棄物管理票制度の運用について」(平成23年3月17日発出)の中で、次のように記載されています。

【収集運搬会社の場合】

  1. 運搬受託者が運搬を再委託する場合は、再受託者に産業廃棄物を引き渡す際に、排出事業者から交付された紙マニフェストを引き渡す。
  2. 再受託者は、運搬を受託した者の氏名又は名称等の必要事項を訂正の上、運搬終了後に紙マニフェストの写しを排出事業者に送付する。

【処理会社の場合】

  1. 処分受託者が処分を再委託する場合は、再受託者に産業廃棄物を引き渡す際に、排出事業者から交付された紙マニフェスト又は運搬受託者から回付された紙マニフェストを引き渡す。
  2. 再受託者は、処分を受託した者の氏名又は名称等の必要事項を訂正の上、処分終了後に紙マニフェストの写しを排出事業者に送付する。

ここまで述べてきたように、廃棄物の再委託は、直接委託に比べると手続きが煩雑になり、少しでも間違うと(建前上は)委託基準違反となるリスクをはらんでいます。こうしたことから、車両や施設の突発的な事故等を除いては、冒頭で書いたとおり、できれば避けたい取引形態といえるでしょう。

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執筆者プロフィール

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
株式会社アミタ持続可能経済研究所 特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も勤める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。 元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)

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