コラム
自社の利益に繋がるCSRとは?(その1)―アミタ流CSRマーケティングのススメアミタ流CSRマーケティングのススメ
アミタグループの株式会社トビムシで、経営コンサルタント/マーケティング統括を担当している古川大輔と申します。CSRという概念が出てきて、企業経営とどうつなげるか、既存のマーケティング、ブランディングと個別の文脈、個別の用語で語られることが多いです。
Some rights reserved by Tom Purves
CSRは企業の利益に貢献できるのか?
- 「CSR活動なんて、コストがかかるだけであると株主から反対されている」
- 「無駄な経費にしか過ぎないから、そんなお金があるのであれば、もっと開発にお金をかけろ」
- 「お客様からは、価格の還元セールをして欲しい!」
といったように、CSR活動を考える上では色々な声があると思います。
その意味で、私はビジネス哲学として、
という言葉を大切にしています。
社会的活動と収益的活動、どちらかの偏ったものというのは、継続性がありません。
企業の目的は「永続性」にあると私は考えます。 CSRを事業の利益に貢献できるものとするために、まずはCSRの「前提」についてお話ししたいと思います。
CSRと自社商品サービスの営業強化を結びつける絵を描く
まず、CSR戦略というのは「ブランド戦略」と密接な関係の上で成り立ちます。ブランド戦略がなく、中長期的な利益が見込まれない「CSR活動」を企業はやってはなりません。継続的でない「CSR活動」は本質的なCSRではないからです。
その流れで云えば、なにもかもが「環境が大切だ」ということだけではもう時代遅れです。例えば、森を守るという環境活動をやっているところは、そのうち自社の利益が出なくなると、森を手放します。 理念に基づき自社のCSRを果たすべき事業が、利益を得たいという自社商品サービスの営業強化にどうつながるか。そこの絵が戦略的に描けていること、これがまず、CSRの実行戦略の大前提にあたる「意味づけ」です。
すなわち、自社のCSR事業が、企業ブランド(イメージ想起)の向上となり、あくまで直接的ではなく間接的に、企業のコア事業(モノ・サービスの販売)と結び付けるかという、意味付けが大切なのです。
トヨタ型・サントリー型は間接的なCSR連携の好事例
トヨタの森は、エコが大事というイメージを消費者に伝え続け、間接的には、プリウスの販売へと繋げています。サントリーの森は「水と生きる」というコーポレートメッセージ(ブランドボイス)をもっていることからわかるように、おいしい飲料水はおいしい安全な水から生まれます。その水を守るのは、森を守ることから始まる、といったことで本業と繋がっていくわけです。
トヨタやサントリーの例では、社会貢献性のメッセージからみる「価値」だけではない「森の多面的機能(二酸化炭素吸収、水源涵養 等)」というものから、自社商品との結びつきを明確にし、結果、企業の森を守る等の動きになっている、という特徴があります。 また、住友林業の場合は、森が最も経済価値につながる、木材としての価値を土台に、持続可能な資源循環を目指すということから、住友林業の森がある、という訳です。 →(第2回に続く)
関連情報
執筆者プロフィール
古川 大輔 (ふるかわ だいすけ)
株式会社トビムシ 経営コンサルタント/マーケティング統括
ブログ:地域再生・森林再生コンサルタント日記
東京大学大学院修了後、株式会社船井総合研究所入社。地域ブランド創造チームを設立し、主に、観光、農業、林材・住宅の経営コンサルティング・マーケティングに従事。地域振興、木材振興に関するセミナー・講演多数。アミタ持続可能経済研究所客員研究員を経てトビムシに参画。 奈良県吉野郡川上村の観光PRの「かみせ大使」でもある。
おすすめ情報
お役立ち資料・セミナーアーカイブ一覧
- なぜESG経営への移行が求められているの?
- サーキュラーエコノミーの成功事例が知りたい
- 脱炭素移行における戦略策定時のポイントは?
- アミタのサービスを詳しく知りたい
アミタでは、上記のようなお悩みを解決するダウンロード
資料やセミナー動画をご用意しております。
是非、ご覧ください。