コラム
「認定熱回収業者」や「再生利用業者」って何のこと?(その3)BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」
作成にあたって、特に対応に苦慮されているのは、今回から新たに追加された、
- 「優良認定処理業者への処理の委託」
- 「認定熱回収施設設置者である処理業者への焼却処理の委託」
- 「認定熱回収施設設置者以外の熱回収を行っている処理業者(以降「熱認定外業者」と記します)への焼却処理の委託」
- 「再生利用業者への処理の委託」
あたりではないでしょうか?。
「優良認定処理業者」については、堀口さんの法改正の解説(法改正記事その7)で紹介されていたように、法令でもしっかりと定義されていますから、これは迷うことはないと思います。
「認定熱回収施設」については、たとえば「熱回収率10%以上」「外部燃料が熱量の30%を越えない」等の条件も規定され、認定マニュアル(※)も公表されていますし、なんといっても排出事業者側から見れば「知事の認定証」で確認すればすぐに分かります。
「熱認定外業者」と「再生利用業者」
困るのは「熱認定外業者」と「再生利用業者」への処理の委託でしょう。実は、この2つは法令はもとより、通知でも定義がされていないのです。
「熱認定外業者」となると「本来は知事の認定を受ける条件には合っているのだが、単に申請をしないだけ」という業者なのか、たとえば「熱回収率6%」なので、認定を受けられない業者なのか、よくわかりません。 極論として「うちは焼却炉の上にヤカンを置いて従業員のお茶を沸かしているんだ」なんていうことまで、熱回収を行っていると考えてよいのか、というになってしまいます。
また「再生利用業者」と似た言葉に、廃棄物処理法の第20条の2に規定している「登録廃棄物再生事業者」がありますが、微妙に違っています。さらに、第九条の八には「一般廃棄物再生利用大臣認定」、第十五条の四の二には「産業廃棄物再生利用大臣認定」がありますが、これとも違うようです。
どうも、多量排出事業者処理計画で言っている「熱認定外業者」と「再生利用業者」というのは、結局のところ、あまり細かいことはいいから、とにかく排出事業者が「再生利用だ、サーマルリサイクルをしているんだ」と基準を明確にして主張するのであれば、それでいいでしょう、というレベルの話のようです。
排出事業者が排出する段階では、廃棄物であるとしても、今はいろんなリサイクルの技術が進歩しましたから、処理後のものが有価物として流通する物も数多く存在しています。たとえば、がれき類を産業廃棄物として受け入れて、再生骨材(砂利代わり)として、あるいは動植物性残渣を受け入れて、堆肥として販売しているような事業形態などがそれです。
こういったことも含めて、処理計画の策定マニュアル(PDF)に書いて有るとおり「多量排出事業者処理計画は社会が評価する」という大らかな気持ちで取り組んでいいものなのかも知れませんね。
■BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」
- その1 排出事業者の「処理計画」って何で作るの?
- その2 行政担当者は「処理計画」のどこを見ている?
- その3「認定熱回収業者」や「再生利用業者」って何のこと?
関連情報
執筆者プロフィール
長岡 文明 (ながおか ふみあき)
株式会社アミタ持続可能経済研究所 特別顧問
山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も勤める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。 元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)
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