コラム
現地確認|どこまでやるべき?―「実地確認の努力義務化」(その4)堀口昌澄の「いまさら聞けない!廃棄物処理法2010年改正 7つのポイント」
廃棄物処理法の改正により、排出事業者も様々な面で対応を迫られることになります。 そこで「未来をおしえて!アミタさん」では、廃棄物処理法が施行される4月まで、廃棄物処理法改正のポイントを7回にわたって解説。 いまさら聞けない法改正のポイントをまとめておさらいしましょう!
改正後: (下線部が改正後に追加)
事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
廃棄物処理法の条文に努力義務を明記
これまでは廃棄物処理法の条文に「処理の状況を確認する旨」は記載されておりませんでしたが、改正法では上記(下線部)の記載が追加され、排出事業者の努力義務として明確化されました。
努力義務とはいえ、排出事業者としては、処理の状況を確認する具体的な方法や社内の方針を定めておく必要が出てきたといえます。どのような方法で処理状況の確認を行うのか、確認した結果をどのように把握し管理するのか、一度社内の体制を確認されるのがよいでしょう。
適正処理は現地訪問・公開情報から確認を
処理の状況を確認する方法については、実際に処理施設等を訪問して確認する方法以外に、処理会社等が提供する「産業廃棄物の処理状況や、産業廃棄物処理施設の維持管理の状況に関する情報」を確認するという方法も、施行通知で示されました。
【実地確認】
廃棄物を委託した処理会社の処理施設を訪問して確認する。
【公開情報の取得】
優良産廃処理業者認定を受けた処理会社等に委託している場合など、処理状況や処理施設の維持管理の情報が公開されている場合は、その情報を確認することで実地確認に代える。
これまで人員不足や遠方になるなどの理由で実地確認に行けなかった処理委託先に対して「公開情報の取得」などを通して適正処理を確認する方法も考えられます。
優良処理業者なら、インターネットでの確認も可能
今回の改正により、優良産廃処理業者認定制度が創設されました(詳しくは、本コラムの最終回(その7)で紹介)。
優良産廃処理業者認定制度の認定を受ける基準の一つに「処分委託量などの実績をインターネットで情報開示しなければならない」というものがあります。施行通知もこの点を踏まえたものになっており、将来的には「優良処理業者に対しては実地確認に行かなくても公開情報の取得で確認が可能になる状況」を想定していると考えられます。
委託先の処理状況の確認が努力義務化されたことと、確認の方法が例示されたことを受けて、排出事業者としては、まず自社の実地確認の実施状況を把握することから始めるのがよいでしょう。その上で、努力義務の順守と社内の状況を勘案して、今後の実施方法をご検討されることをお勧めします。
■堀口昌澄の「いまさら聞けない!廃棄物処理法2010年改正 7つのポイント」
- その1 自社処理にも帳簿が必要?―「自社処理帳簿の義務化」
- その2 事前の周知が肝心!―「処理困難通知への対応」
- その3 処理計画の様式を統一化!―「多量排出事業者処理計画の見直し」
- その4 どこまでやるべき?―「実地確認の努力義務化」
- その5 許可証管理が複雑に!?―「収集運搬業の許可制度改革」
- その6 元請業者の責任重大 !?―「建設廃棄物の排出事業者の明確化」
- その7 今までよりも厳しい認定基準に―「優良産廃処理業者認定制度の改革」
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執筆者プロフィール(執筆当時)
堀口 昌澄
株式会社アミタ持続可能経済研究所
環境ソリューション室 主席コンサルタント(行政書士)
廃棄物のリスク診断・マネジメント構築支援、廃棄物関連のコンサルタント、研修講師として活躍中。最近では、廃棄物処理業者の評価/選定システムの構築も行っている。個人で運営しているブログ「議論de廃棄物」も好評を得ている。『日経エコロジー』にて廃棄物処理法に関するコラムを連載中。
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