「CSR」×「ソーシャルビジネス」 ISO26000がソーシャルビジネスの定義を変える~「社会的責任」がもたらすチャンスとリスク~(2/3) | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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「CSR」×「ソーシャルビジネス」 ISO26000がソーシャルビジネスの定義を変える~「社会的責任」がもたらすチャンスとリスク~(2/3)リレーコラム

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※本記事は「CSR Magazine」Webサイトに掲載された記事の転載です。
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チャンスとリスク

Q ISO26000がもたらすチャンスとリスクについてもお話しいただけますか。

蝦名: ISO26000の発行は顧客獲得(取引先選定)と採用の2つに大きな影響が及んできています。

社会的責任を果たすかどうかで顧客が増減する

まず、顧客獲得について話しましょう。ISO26000に取り組む組織は、サプライチェーンマネジメント(SCM)によるCSR調達をより重視することになります。CSR調達というのは簡単にいうと、社会的責任を果たしている組織と取引するということで、その範囲は直接の取引先だけでなく、自社と二次、三次的に関係する企業にも及びます。

大企業を中心にISO26000に取り組む企業が増えるということは、その企業から選ばれる条件として、社会的責任を果たしているかどうかが重要になってきているということです。今まで取引の選定基準は、価格、品質、納期、それに追加して実績(今までの関係性)が重要視されました。最近では環境配慮も重視されていますが、今後はこれに「人権」「労働慣行」「公正な事業慣行」「コミュニティ参画および開発」といった要素が今まで以上に強まります。

たとえば、価格、品質、納期、環境性能は申し分ないが、従業員の労働状況に問題(性差別や過重労働が見受けられる等)がある、といった点で、お客様を失う可能性が挙げられます。逆に、価格、品質、納期などで差が無い場合、従業員満足や、地域への貢献の度合いが差別化のポイントとなってきます。つまり、ISO26000に対応しないと既存の取引先を失うリスクにもなりますし、いち早く対応しておくことは、新たな顧客を獲得するチャンスにもなります。

たとえば、兵庫県西宮市にある社員40名未満の企業が ISO26000の発行前にいち早くISO26000を参考にしてCSR報告書を編集したことで、注目を浴びたことが挙げられます。

社会的責任を果たすかどうかで採用力が変わる

次に、採用です。企業・組織が社会的責任を果たしているかどうかは、優秀な人材の採用力に影響を及ぼしてきます。実際に、社会への貢献を実感できる仕事を求めて大手企業を辞め、ソーシャルベンチャーに転職したり、起業したりする方が日本には多くいます。仕事にやりがいを求め出産後も仕事を続けたいという意思を持った女性も増えており、就職活動時に女性の働きやすさにも注目しています。

ISO26000を基に社会的責任を果たす組織を作り上げられれば、組織の規模に関係なく優秀な人材が集まる可能性もあります。逆に社会的責任を果たしていないとみなされれば、優秀な人材が集まらなくなるでしょう。ISO26000を基に社内外への社会的責任の徹底と適切な情報発信が重要となります。

学生側はCSRもエントリーの判断基準にし始めています。最近では大学の就職課にCSR報告書が用意されていたり、企業のCSR活動を記載する欄を採用サイトの中に設けたりする例も見られます。また、立派なCSR報告書を作成しても、従業員にそれが徹底されていなければ、会社説明会、OB訪問等で実態がわかってしまいます。(続く)

続きを読む(ISO26000がソーシャルビジネスの定義を変える 3/3)

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執筆者プロフィール
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蝦名 裕一郎
アミタエコブレーン株式会社
マーケティング事業部 マーケティングチーム

アミタ株式会社に入社後、人事部門でアミタへのエントリー者数を昨年対比3倍にする等成果を上げる。その後、コンサルティング部門で企業の環境教育活動のプロデュース、省庁との地域活性化支援事業の運営等に携わる。ソーシャルビジネスに関する新規事業部門を経て、現在はCSRレポートの横断検索サイト「CSR JAPAN」の運営とCSRコミュニケーションの分析、コンサルティング業務に従事。

個人ブログ「CSRが当たり前になる世の中に」

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