コラム
新たな環境省管轄の国家資格 土壌汚染調査技術管理者(1/2)土壌汚染とのオトナな付き合い方
昨年12月19日に新たな環境省管轄の国家資格「土壌汚染調査技術管理者」の試験が実施され、その結果が1月25日に公表されました。土壌汚染関係では初の国家資格となります。
試験は5,554 人が受験し1,055人が合格されました。私の周りも悲喜こもごも(ほとんどの方は受かっていましたが)でした。
受験者が5,000人以上いる、というのは素直な驚きでした。「資格が大好き」という方も多数受験をされていたと思いますが,土壌汚染に関わっている人は思ったよりも多いのかもしれません。
試験は択一式で、土壌汚染の特性に関する問題、土壌汚染対策法(以下、土対法)に基づく調査に関する問題、法に基づく措置に関する問題、環境法に関する問題などがあったようです。
私は諸般の事情により受験はしていませんが、勉強をせずに午前の問題を解いてみたところ正答率は75%くらいでした。一般常識で考えると間違える引っ掛け問題がいくつかあり見事に引っかかりました。
土壌汚染調査管理技術者はなんの資格?
さて、この土壌汚染調査管理技術者はなんの資格なのでしょう? この資格の意味は改正土対法の第三十三条、第三十四条に記載してあります。
そこには「土壌汚染調査管理技術者」は、土壌汚染状況調査等の技術上の管理をする人であり、土壌汚染状況調査を実施する場合には調査に従事する人の監督をすること、という趣旨のことが書いてあります。 また、施行規則には「土対法に基づく土壌汚染状況調査を実施した場合には、その報告に土壌汚染調査管理技術者の氏名、交付番号を載せること」とあります。
お分かりのとおり、この資格は「土対法」に基づく「土壌汚染状況調査」を適切に行うことための能力を持っていることを示す資格なのです。
土対法に基づいた複雑な調査・設計ができる能力の証
土対法に基づく土壌汚染状況調査やその後の詳細調査は、手続き論にしても、調査の設計にしても、結果の評価についてもけっこう複雑です。
その複雑さは調査方法等が書かれてある「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン暫定版というガイドライン」の本編が348ページ、Appendixが12もあること、それ以外に汚染土壌の運搬に関するガイドライン暫定版や汚染土壌の処理業に関するガイドライン暫定版などがあることからも想像できると思います。
この本は以前紹介しましたね。 この資格の保有者は、土対法に基づく土壌汚染状況調査に関して、手続き・調査方法の設計や品質の確保について、法に書かれたとおりにできる能力があるヒト、ということになりますね。
もちろん土対法の調査の実施時にはこの資格が必須ですが、土地取引等で実施する土対法に準じた自主調査においても、将来、土対法の4条に該当する可能性がある場合などは、この資格を持った方に計画・管理をお願いしてみる方がいいかもしれません。 →次は実際の試験問題に調整してみましょう(続きはこちら)
■バックナンバー
- 新たな環境省管轄の国家資格 土壌汚染調査技術管理者(1/2)
- 新たな環境省管轄の国家資格 土壌汚染調査技術管理者(2/2)
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執筆者プロフィール
保高徹生(やすたか てつお)
京都大学大学院農学研究科
博士前期過程修了、横浜国立大学大学院 博士後期過程修了、博士(環境学)。環境コンサルタント会社勤務、土壌汚染の調査・対策等のコンサルティング、研究を行う。平成19年度 東京都土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会 委員。
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