コラム
第3回 グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク 野村彰男氏藤原仁志の「対談:攻める!環境部」
アミタエコブレーン株式会社は2010年11月に、企業のCSRレポートを掲載でき、自社レポートのどのページが人気なのかを分析できるウェブサイト「CSRJAPAN(※1)」をリリースしました。
リリースを記念し、アミタエコブレーン社長の藤原仁志が、メディアとしてのCSRレポートについて識者に伺うインタビューを行いました。ゲストは、ジャーナリストとしての経歴が長く、現在はグローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク(GC−JN) ボードメンバー/経営委員を務める野村彰男氏です。
(※1)CSRJAPAN・・・2010年11月4日~2017年6月29日までアミタ(株)が運営していたWebサイト。2017年6月29日以降は「おしえて!アミタさん」サイトに統合。
CSRレポートのターゲットを明確にして、将来のビジョンを提示することが大事
現在、グローバル・コンパクトを通じて企業のCSR担当者と接していますが、CSRレポートは、新聞記事と同様に、誰をターゲットに発信しようとするかが大事なところだと考えます。また、企業の姿勢として、CSRレポートを、企業の取り組みの良いところばかり見せるショーウィンドウにするのか、自分たちの悩みも含めてなるべく「あるがままを見せよう」という姿勢になれるのかが、大きな分岐点になるのかもしれませんね。
その意味で「まだこういうところはできていない。」「こんなところはこれからがんばりたい。」という点を、率直に示すのもありかな、と。
日本は、言行一致を良しとするpresent push(現在を押し上げていく)のスタンスが強いのですが、中長期的なビジョンを立てて、Future pull(未来を引き寄せる)という形で取り組んでいく視点も大切だと思います。既に大企業は取り組んでいると思いますが、これだけ世の中の流れも速くなっているので、ビジョンを持つことは大切だと思うのです。
また、CSRレポートが、いま実際に実現していることのアピールにとどまらず、将来のビジョンを社員が共有できるものにするということは、社員のモチベーションアップにもつながりますし、ステークホルダーの共感も呼ぶのではないですか。これは、人づくりにもつながると思います。
中小企業が積極的に参加し、日本の企業文化が見渡せるCSRレポートサイトに!
CSR JAPANというサイトができて、企業人も、研究者も、就職を考えている学生も、投資家も、CSRレポートを見ることができるのは素晴らしいことだと思います。
今後、仕事を選ぶ学生さんも、労働条件やその会社の商品だけでなく、その企業が社会に対してどんな責任を果たしているかといった点に注目してくるはずです。
物事の変化のスピードやスケールが大きく、未来の見通しがつきにくい時代になっています。だからこそ、人が精密な歯車のひとつとして効率的に働いていることが示されるだけでなく、いわば「ハンドルの遊び」のような部分があっていいと思うのです。失敗談だって、載っていて良いのではないでしょうか。また、フォーマットについても、さまざまなガイドラインがありますが、前年を踏襲したフォーマットにこだわらず、そのときどきで、どんな順番が良いのかを考えても良いと私は思います。
中小企業にとって、CSRレポートを大企業と同じようにすべて網羅して作るのは難しいと思いますが、CSR JAPANは「この分野では、他社に負けない」という得意分野を打ち出したレポートも認めるような場になっていけると思います。すべての商品をそろえたデパートではなく、名店街のような場にね。志の高い中小企業経営者は大勢おられますし、面白い発想を持った中小企業はたくさんあります。今後、CSR JAPANが単に統制の取れた規格品のレポートがそろっているという場ではなく、様々なデコボコもあるCSRレポートを通して、日本の企業文化や産業社会が見渡せる、そんなサイトになることを願っております。
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