コラム
「環境」×「省エネ行動管理」その3~運用改善の課題~「環境」×「省エネ行動管理」
※本記事は、「環境」×「省エネ行動管理」その2~攻めの省エネ「運用改善」のすすめ の続きの記事です。
運用改善は、経営基盤の強化と企業体質の強化ができる改善手法ですが、設備改善と異なり、人と組織を動かすため「現場の負荷」や「継続性」など注意すべきことがいくつかあります。今回は、特に活動を止めてしまう「継続性」の問題を事例で解説します。
現場はやりたくない
これは運用改善についての従業員の本音です。
質問 | 省エネ・コスト対策について、どんなイメージをお持ちですか? | |
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回答 |
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(参考資料:省エネ・コスト削減のイメージ調査)
担当者は、どうしてもルールやマニュアル(管理標準等)の整備に注力してしまいます。私もそんな時期がありました。完成して配布すると仕事をした気持ちにもなります。しかし、忙しく働く従業員を見ていると、サポートしなければならない部分はマニュアル等の運用面にあるとすぐに気がつきます。
活動を止めてしまう事例:小売店(中型店)
7月下旬、現場指導が終わり休憩室に入ると、一人の女性従業員が大量の汗をぬぐいながら食事をしていました。省エネを行っている施設ではよく見かける光景ですから、あえて事例として紹介します。ここからは実際の会話です。
杉本 :「暑いですね、空調入れましょうか?」
従業員:「大丈夫です」
杉本 :「汗かきながら食事をしても休憩にならないでしょう。きちんと休まないと。入れても大丈夫ですよ」
従業員:「えっ、でも・・・店長が・・・」
「設定温度は、冬20℃、夏28℃(政府推奨)にしましょう」というルールをよく見かけますが、真夏や真冬はさすがに守れないですね。しかし、まじめな現場ほど忠実に守ります。 ムリをする活動にしたら絶対にダメです。
現場は徐々に疲弊し、お客様からのクレームや従業員の不満がきっかけとなり活動は一旦中断します。現場は二度とやりたくない雰囲気になり、省エネ担当も強く推せない停滞に陥ります。
今回の事例では、運用面のフォロー(行動管理)が不十分でした。ルール表示の横に「暑いときには使いましょう」という一言を添えるだけで活動促進につながったケースもあります。そもそも空調管理は、暑くない時間帯や必要ない季節のムダな使用を管理するほうが重要です。また、これなら従業員も喜んでやってくれます。
型だけのマニュアルにしない
解決策としては、現場に誤解のないように細部まで気を配り、手足を動かし活動してくれる従業員を楽にさせるマニュアル、組織体制になっているかが重要です。
次回は「継続する施設の管理手法」を紹介します。 (連載第4回は、9月13日公開予定です)
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執筆者プロフィール
杉本 明文
株式会社チェンジバリュ 代表取締役
1968年生まれ。明治大学政治経済学部卒業後、西日本鉄道株式会社に入社。労務・人事業務に携わる。
その後、製造業の業務改善コンサルティング企業を経て、株式会社コスト削減総合研究所に入社。『コスト削減のDNA』を現場に継続的に根付かせる業界毎(流通業・ホテル・旅館・病院・レジャー施設)の体験型の研修プログラムを開発。2000を超える施設で運用。
現在は株式会社チェンジバリュ代表。
省エネの継続性の課題を解決する業界初の「省エネ行動管理」ソフトを開発。 【著書】
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