コラム
使用済みタイヤについての通知で「総合判断説」が分かる!るんるんの廃棄物処理法・通知トーク!
(アミタさん)
あるものが廃棄物かどうかを判断するときの「総合判断説」については、使用済みタイヤの通知がよく引用されると思うんだけど、なんでタイヤなの?他にも、総合判断説に触れた通知はたくさんあったように思うんだけど。しかも、こんなふうに、同じ名前の通知が2つあるし。どっちが重要なの?
(るんるん)
まず、通知が2つあるってことからだけど、これは当時の厚生省の組織が、水道環境部に環境整備課って「課」があり、その課の中に産業廃棄物対策室っていうのがあったんです。だから、環境整備課長の方が産業廃棄物対策室長より偉かったわけですね。
これ以降、廃棄物処理法は省庁大編成換えにあわせて、環境省が所管することとなり、今は一般廃棄物は廃棄物対策課、産業廃棄物は産業廃棄物課が担当しています。
で、この2つの通知を読むと分かるけど、
- 衛環65号・・・環境整備課長で発出され、より概念的・総合的・全体的な内容
- 衛産95号・・・産業廃棄物対策室長名で発出され、より具体的な内容
になっています。
だから、この2つの通知について「どっちが重要?」って聞いているのは「腕と指でどっちが大事?」って聞いているようなものですね。
(アミタさん)
なるほどぉ。つまり、総合判断説の概念的なことを知りたければ、衛環65号を読んでください、ということね。で、産業廃棄物への具体的な適用例として、衛産95号を参照すると。
なぜタイヤが引用されるか?
(るんるん)
そういうことです。さて、本論に入って「なぜタイヤか?」についてですが、公式に見解が出されている訳ではありませんが、いくつかの背景はあると思います。
一つは、この平成12年という年は、まだ自動車リサイクル法が施行されていなかったせいもあり、全国で廃タイヤの山がいくつも出来て、社会問題になっていました。
次に、タイヤって性状的には腐ったりするものではありません。だから、長い間放置したところで「生活環境の保全上支障」って発生しないんじゃないかって考えられる典型的な「モノ」ですね。いわゆる安定型物。
しかし、そういった安定型物でさえ、180日間も放置すれば、蚊や悪臭が発生し「生活環境の保全上支障」有りって判断できるわけです。つまり「生活環境の保全上支障」有りなら措置命令の対象になり得るってことですね。
(アミタさん)
ああ「生活環境の保全上支障」がないと、不法投棄だったとしても、廃棄物処理法の規定では措置命令や代執行は行われないんだっけ。そういう意味では、微妙な案件なんだね。
(るんるん)
そして、タイヤは燃やせば燃えて、熱量があります。しかし「それなりの設備」が無いと、黒煙が発生します。
すなわち、廃タイヤボイラーを持っている人にとっては「有価物」にもなり得るのですが、そんな設備を持っていない人にとっては通常は「有価物にはなりえない」。
つまり、人やその時の状況によって、同じ物体でも有価物と判断されたり、廃棄物と判断されたりすることがあるってことを説明するには、格好の「モノ」だってことも言えますね。
(アミタさん)
確かに、タイヤは再生利用認定にもなっているし、有価、というか有用なものになる場合も多いよね。安定型ではないけど、木くずもちょっと似てる。
(るんるん)
そう、廃プラ、食品残渣、廃油なども問題になりやすいです。でも、こういったものは少なくともタイヤよりは「生活環境保全上の支障」を発生しやすいですよね。だから、こういったモノはタイヤで示した180日を待たなくとも、廃棄物であると判断できる時が多いってことです。普通に考えても、本当に「有価物」なら6ヶ月も「放置」し続けるってことは、まずはないってことでしょうね。
(アミタさん)
ふーん、なるほど。でもまぁ、総合判断説って、つまり、常識で判断しなさい、っていうことでしょ。普段はそんなに難しく考えなくてもいいんだよね?
(るんるん)
そうですね。総合判断説って5つの要因を取り上げてはいるけど、裏取引もなく、通常に扱われている「買われている」のなら有価物「誰も持って行ってくれない」のなら廃棄物って考えても、まぁ、9割以上は問題になるってことはないでしょうね。
ただ、「0円取引」とか「輸送費で赤字黒字が逆転」とか「当事者同士しか価値が分からない」なんてパターンは、この通知にあるように「総合判断説」で考えるしかないってことでしょうね。
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