コラム
資産除去債務:「環境」×「財務」その1リレーコラム
『あなたが投資をした企業が、大きな損失を出したわよ!』
妻の声にびっくりして飛び起きた私は、 妻の視線の先にある朝刊に目をやった。
『○○鉱業 一転して赤字決算!』
『今期、特別損失を100億円計上!』
Some Rights Reserved. Photo by Katrina.Tuliao
一体、何が起きたんだ??? あんなに業績がいい会社だったのに???○○鉱業はいわゆる資源株。 採掘可能期間もあと20年以上残されている。 安定株だと思って運用を始めたのに・・・。
妻が入れてくれた熱いお茶を飲んで少し落ち着いた私は、 朝刊の記事を読み進めた。 そこには今まで見たことがない文字が書かれている。
『今期一転して赤字となった理由は、 「資産除去債務」により特別損失を計上したことが原因。』
なんだ? この「資産除去債務」って? 新聞記事のコラムにはこうある。
『資産除去債務とは、 有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、 当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務 及びそれに準ずるものをいう。』
『分かりやすく言うと、 資産除去債務とは、工場や建物の将来の撤去費用を見積もり、 その債務を負債に計上するもの。』
『対象は、アスベストやダイオキシン類の除去、原子力発電所の解体費用など、 主に法令で除去が義務付けられている汚染物質の処理費用などがあげられる。』
アスベスト、ダイオキシンという言葉を聞いて私はハッとした! そう言えば、 私が所属する環境部と同期の桜井君が所属する経理部とで 今日ミーティングをすることになっていた。
確か、桜井君は、我々環境部門に協力をしてもらいたいことがある、 って言っていたような。 パンを一枚かじると、私は慌てて会社に向かった。
(第2回へつづく)
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執筆者プロフィール
石倉 英樹氏
株式会社コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティング
公認会計士
公認会計士2次試験合格後、監査法人トーマツにて、主に国内ベンチャー企業の監査業務に従事。その後、株式会社コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングに入社。現在は、IFRS支援、J-SOX支援、会計コンバージェンス支援(資産除去債務等)、財務デューデリジェンス等のコンサルティング業務に従事。
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