コラム
土壌汚染対策法の改正について(1):土地所有者、事業者の方に影響が大きそうなこと。土壌汚染とのオトナな付き合い方
改正土壌汚染対策法の施行日は2010年4月1日です。
2009年1月20日に開かれた中央環境審議会 土壌農薬部会土壌制度小委員会(第13回)で改正土壌汚染対策法の施行のための省令案が公開されました。現段階ではあくまで案ですが、今年(2010年)の4月1日が施行日なので、これから多少の修正はあれどもほぼ最終段階、というところでしょうか。
詳細は環境省さんのHPを見ていただくとして、実際の土地所有者の方や製造業の事業者さんに影響が大きそうなのは、なんといっても土地改変時の調査契機が設定されたことでしょう。
これは改正法の第4条にあたりますが、2010年4月1日以降「3000m2以上の土地改変をする場合※1、※2」は、現在有害物質の使用の有無に関わらず、都道府県知事への届けが必要となることです。このため、3000m2以上の土地改変時には改変の30日前までに管轄行政の環境部局にも書類等を提出する必要があり、待ちの期間が発生します。
このような土地改変面積による調査契機は、東京都、大阪府、愛知県などの大都市圏に近い8つの自治体の条例でありますが、これが全国に広がることになります。これによりさらなる土壌汚染の把握が(おそらく)可能になるのでしょう。
ここで当該土地に「土壌汚染のおそれ」がある、と都道府県知事が判断すれば調査命令がかかり、土壌汚染状況調査を実施する必要が出てきます。そうなると、調査費用が必要なだけでなく、調査や審査期間もかなり長くなると思われるため、開発等を行うプロジェクトにはかなり影響が出ると考えられます。しかも調査の結果、汚染が確認されれば、措置費用に加えてさらなる開発の遅れが出ると思われます。
汚染があった場合、開発者等はそんな土地を購入する選択はしないのでは、と言う懸念もあり、さらなるブラウンフィールドが生まれるかもしれません。いずれにせよ、現行、土地改変時の調査に関する条例がある8つの自治体以外では、施行当初は行政の判断に時間がかかる、手続きが大変等、様々な影響が出ると思われますので、ご留意ください。
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執筆者プロフィール
保高 徹生 (やすたか てつお)
京都大学大学院農学研究科 博士前期過程修了、横浜国立大学大学院 博士後期過程修了、 博士(環境学)。環境コンサルタント会社勤務、土壌汚染の調査・対策等のコンサルティング、研究を行う。平成19年度 東京都土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会 委員。
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