コラム
コラムを始めるにあたって土壌汚染とのオトナな付き合い方
土壌汚染の"現在"と"将来"を考える
これからコラムを書かせていただきます、保高徹生と申します。私は、現在、環境コンサルタント会社に所属しており、土壌汚染に関わるコンサルティングや研究、講演等の活動をさせて頂いています。これらの活動におけるテーマは、土壌汚染による社会経済影響の分析を行い、影響を緩和する手法を提供する、というものです。具体的には、掘削除去一辺倒からリスクに応じた合理的な措置への転換、そして、ブラウンフィールドの発生防止、という二つの内容に取り組んでいます。
本コラムのはじめに、これらのテーマに取り組み始めるきっかけをお話したいと思います。
今から7年ほど前のことでしょうか。私が土壌汚染に関する仕事について1年ほど、土壌汚染対策法が成立して半年ほど経った頃です。
ある汚染サイトで、土壌溶出量基準の1.5倍~3倍程度の濃度の鉛を含んだ汚染土壌を、買主さんの要望をうけて数億円かけて処理していました。このとき、この土地の所有者(売主さん)からの二つの疑問が出てきました。
「環境リスク」と「不動産価値」
一つは
「保高さん、この汚染土壌がこの場所にあることで、どのくらいの環境に影響を与えるのだろうね。誰も地下水飲んでないよ、このあたり。というか飲めないよね。海水が混じっているし」
という土壌汚染の環境リスクの疑問。
もう一つは
「土壌汚染処理費用って高いよね。うちはこの処理費用を支払えるけど、土壌汚染処理費用で土地が売却できなくて困る人はたくさんでてくるだろうね」
という土壌汚染の経済的な影響の疑問でした。
この二つの疑問(環境リスクと経済的な影響)が、その後、私を社会人大学院博士後期過程に入学させ、土壌汚染の社会・経済的な影響の評価、そして土壌汚染の環境リスク評価に関する研究、そして先に述べた現在の仕事に取り組むきっかけとなりました。
本コラムの第1回では、なぜ、土壌汚染の措置は掘削除去に偏るのか?-その原因と偏りによる社会・経済影響を考える-と題して、土壌汚染による「環境リスク」と「不動産価値」の二つの視点からお話したいと思います。
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執筆者プロフィール
保高 徹生 (やすたか てつお)
京都大学大学院農学研究科 博士前期過程修了、横浜国立大学大学院 博士後期過程修了、 博士(環境学)。環境コンサルタント会社勤務、土壌汚染の調査・対策等のコンサルティング、研究を行う。平成19年度 東京都土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会 委員。
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