Q&A
CSVの参考になる事例はありますか?~トムスシューズ,バケットフィート
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今回は商品力の強化という観点での中堅・ベンチャーにおけるCSV事例を紹介します。
トムスシューズ社 「One for One」
バケットフィート社 「靴を通じたアーティスト活動支援」
前回の記事では、CSVの取り組みのメリットの1つである商品力の強化においてネスレ等大企業の事例をご紹介しました。今回は、中堅・ベンチャーにおけるCSVへの取り組みをご紹介します。最近では、地方の中小企業にとっては、地域活性化や雇用問題等に向かい合わなければならず事業として取り組む事がCSVそのものとなっていたり、ベンチャーが従来にない新しいニーズを発掘する事自体で自然とCSVに近しい領域を選択していることが多いです。大企業にとっては一見関係ない様に感じられる方もいるかもしれませんが、昨今、必要性が高まっている新規事業開発において大きなヒントになると思います。
トムスシューズの事例 「One for One」
2006年、旅行家の代表者がアルゼンチンを訪れた際、村の子ども達が足を守るための靴を履いていなかったのを見て、彼らを助けたい、守りたいという想いから、『あなたが靴を1足購入するたびに、TOMSから子ども達に新しい靴が贈られます。』というコンセプトの TOMS カンパニーを設立しました。この想いに共感した顧客が恩恵人(ベネフィクター)として靴を買い、ギビングパートナーが靴をしっかりと届けていく事で社会的価値と事業成長の両立を実現しています。現在では、購買力で世界を豊かに変えていくビジネスモデルで「TOMSアイウェア」を設立等更なる領域に進出しています。
画像:https://tomsjapan.jp/user_data/our-movement.php
バケットフィートの事例 「靴を通じたアーティスト活動支援」
バケットフィートは、トラベラーが履くシューズを媒体として、アーティストと顧客を繋ぐサービスです。元々トラベラーだった創業者が世界各地のアーティストの活動を支援したいという想いから靴のデザインをアーティストにお願いし、トラベラーがそれを買い世界中を旅行する事で広告塔になり、口コミで更にお客を呼ぶというサイクルで事業を拡大しています。アーティストの活動を支援するという想いをサステナブルに事業拡大していく上で、仕入先(アーティスト)⇒企業⇒顧客(トラベラー)という枠を超えて、創業者の想い・世界観に基づく一体的コミュニティをつくりあげています。グローバル化やIT化が進む中で、社会的によい事では従来市場化できなかったものが多くのステークホルダーが協働する事で事業モデルとして成り立つようになってきています。
画像:http://www.bucketfeet.com/connect/about-us
事例から学ぶCSV実現のポイント
- 顧客・仕入先・自社を1つの生態系と捉え事業モデルを創り上げる。
- 事業モデルを創るうえでグローバルな視点やICT等の技術革新を活かす
執筆者プロフィール
小田 るい(おだ るい)氏
京都大学工学部情報学科卒業
NPO法人 sopa.jp 理事長。CSVプロデューサー。
競争戦略・CSVの権威であるマイケルポーター等が設立した外資系コンサルティングファーム出身。経営コンサルタントとして、大企業の新規事業開発、マーケティング戦略、IT戦略等の豊富なプロジェクトを経験。現在は、福祉・環境等社会問題領域に進出するNPO・ソーシャルベンチャーの経営支援や、大企業のCSV事業の立ち上げ支援等を行っている。
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