Q&A
中国の廃棄物関連法にはどのようなものがあるのでしょうか?中国拠点の廃棄物管理の遵法性が心配です。
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中国における環境法の基本となるのは、環境保護法です。そして廃棄物に関しては、固体廃棄物環境汚染防止法(固体法)が制定されています。
環境保護法を基に、廃棄物に関わる法令がどのように制定されているのか確認してみましょう。
2014年4月からこの環境保護法の大幅改正が決定し、2015年1月から施行されることがメディア等で伝えられています。中国に拠点を持たれている企業は、その動向も把握しておく必要があります。
中国の廃棄物関連法
中国の法体系と、それに付随する主な廃棄物関連法は下記の通りです。
環境関連法の基本となるのは先述の通り環境保護法です。
そして、環境汚染防止のために各個別法が存在し、廃棄物に関しては固体廃棄物環境汚染防止法(以下、固体法)が制定されています。これらの法律は、全国人民代表大会(全人代:日本の国会に相当)や同常務委員会が制定します。
固体法は、廃棄物による環境汚染防止を目的とした法律で、
「製品の生産者、販売者、輸入者、使用者は、発生させた固体廃棄物について環境汚染を防止する責任がある」
と汚染者の責任負担の原則が明示されています。
廃棄物の管理体制、廃棄物の収集、貯蔵、運搬や処理において、この法令に違反した場合の罰則等が規定されており、廃棄物の排出事業者は、最低限この固体法で要求されている事項を把握しておく必要があります。
中国の法律制度の仕組み
固体法を含む環境関連法を実行し監督管理制度を執行するために制定されているのが行政法規で、これは国務院(日本の内閣に相当)が制定するものです。
行政法規には細則、条例、規定、弁法、決定・通知といった様々な種類のものがあります。さらに、国務院の各部局が制定する部門規章、地方レベルで公布される地方法規が存在します。
地方レベルで制定される法規の方が中央政府の法よりも厳しい場合もありますが、それら全てが適正な廃棄物管理にかかる法令になりますので、自社に関わる法令を把握した上で、最新の法令・規制等の動向を随時把握していかなければなりません。
その他、別途環境保護部(日本の環境省に相当)が定める環境基準があります。
固体廃棄物を識別するためのガイドライン(試行)や、どのような廃棄物が危険廃棄物に該当するのかを定めた基準、危険廃棄物のリスト等がありますので、これらも実務上把握しておいた方が良いでしょう。
※その他、環境保護を主目的とせずとも関連する法律があるため、状況に応じて対応する必要があります(民法、刑法、循環型経済法など)。
中国の環境保護法の大幅改正
2014年4月、中国の全人代常務委員会において、環境保護法が25年ぶりに大幅改正されることが決定しました。改正環境保護法は2015年1月から施行されます。
深刻な環境汚染への懸念が広がる中での今回の法改正では、政府の監督管理責任が強化され、違法に環境汚染物質を排出した場合の罰則が厳格化されるなど、全体的により厳しい内容となっています。
例えば、汚染を引き起こした企業は、改善完了まで日割算出され原則上限の無い罰金が科せられる他、違反企業名が公表されるために大きな社会的ダメージを受けることになります。また改善命令に従わなかった場合に企業幹部の身柄拘束や、違反事業所の閉鎖や資産凍結等といった処罰の執行権限を環境保護部に認めるなど、今後中国政府がより厳しい法令を基に環境汚染に挑もうとしている方向性が伺えます。
さらに、これまで政府系団体のごく一部に認められていた環境汚染関連訴訟の提起条件が緩和された他、企業内部告発者の保護も盛り込まれるため、社内外問わず環境汚染に対する目がより厳しくなると考えられます。
自社、中国拠点における廃棄物管理状況や廃棄物に関わる法的要求事項、リスクを知り、よく分からないうちに汚染問題に巻き込まれるといった事態を未然に防ぐよう準備を進めておくことが、これまで以上に重要になってくるでしょう。
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執筆者プロフィール
渡辺 綾
アミタ株式会社
海外事業グループ 海外事業チーム
アミタに合流後、環境認証研究所(現(株)アミタ環境認証研究所)にて、FSC COC認証審査員として各地の木質由来製品の商社・加工業者の審査を実施。その他国際的な環境認証の認証プロセスに関わる業務を経験。現在は海外事業グループに所属し、海外でのリサイクルルートの構築や、主に東南アジア、中国における調査事業および新規事業の立ち上げを担当。
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