Q&A
自社は今まで環境活動をそれほどアピールしていませんでしたが、ISO14000の改訂を意識して広く発信していく方針に変わりました。どうすればいいですか?
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まずは、自分たちで行っている環境活動について外部へ公表できるように情報収集をしましょう。どのような情報を収集すべきか、収集した内容をどのようにまとめていくべきかを併せて解説していきます。
実は無意識に実施されている守りのCSR活動
まずは、攻めのCSRと守りのCSRの概念を理解しましょう。
▼参考記事
今日からできる!社員を巻き込むCSR活動(その3)「攻め」と「守り」のCSRの違い
上記記事でも記載していますように、自社の事業活動を
- 必要条件として、ルールを守っていること(法律や国際規範の遵守)「守りのCSR」
- 十分条件として、企業の存在を通じて社会に貢献していること「攻めのCSR」
に分けて整理しましょう。CSR活動をこれから広くアピールするのであれば、おそらく
地域固有に生息する絶滅危惧種の保存活動や植林活動などの「攻めのCSR」をイメージされていると思いますが、まずは皆さんが無意識に実施している無数の「守りのCSR」を把握することが重要です。なぜなら「既に自社がこんなにCSR活動をやってきている」と具体的に示すことができ、経営層や社員に認識をしてもらい、協力体制を築きやすくなるからです。
例えば、排水の適正処理や近隣住民に迷惑をかけない騒音対策、安全対策等といった地味な活動でもステークホルダーのために継続している活動は立派なCSR活動です。こういった情報を収集し、認知してもらうことで、会社広報との連動や経営層・社員の理解が得られ、CSR部署への予算が通りやすくなる等の環境づくりにも繋がります。
もし、環境マネジメントシステム規格であるISO14001認証取得やエコアクション21の取得をされているのであれば、自社の環境方針や環境側面、法的及びその他の要求事項、環境管理計画等「守りのCSR」を把握するのに役立ちますので、併せて確認することをお勧めします。
組織の社会的責任に関するガイドラインISO26000を元に情報整理
以上、収集すべき情報はお分かりいただけたかと思いますが、どのように情報をまとめるかについては、組織の社会的責任に関するガイドラインISO26000にある組織全体に社会的責任を統合するための手引きを参考にすると、企業と社会との関係性や全体像の把握に役立ちます。
ISO26000 第7章 組織全体に社会的責任を統合するための手引き
- 組織の特徴と社会的責任の関係
- 組織の社会的責任の理解
- 社会的責任に関する組織の行動及び慣行の見直し及び改善
- 社会的責任に関する信頼性の強化
- 社会的責任に関する自主的イニシアチブ
- 社会的責任に関するコミュニケーション
以上6つの視点で、冒頭で話した「守りのCSR」や自社の経営方針、理念・先進的な取り組み等を整理すれば自社とステークホルダーとの関係性が明確になり、アピールの仕方・表現の仕方が定まっていきます。
ぜひ、ご参考にしていただいて自社のCSR活動に役立ててください。
その後のCSR活動の情報発信方法をどのように考えるかは、下記の記事をご参考ください。
▼参考記事
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執筆者プロフィール
猪又 陽一
アミタ株式会社
環境戦略支援グループ CSRプロデューサー
早稲田大学理工学部卒業後、株式会社ベネッセコーポレーションに入社。理科教材やダイレクトマーケティングを経験後、外資系ネット企業やベンチャーキャピタルを経て株式会社リクルートエージェントに。インターネット転職市場の新規事業を軌道に乗せた後アミタに合流。環境・CSR分野における仕事・雇用・教育に関する研究に従事。環境省「活かそう資源プロジェクト」メンバー。GC-JNの分科会幹事を歴任。現在、CSRレポート比較サイト「CSR JAPAN」をプロデュース。企業、大学などで講師やファシリテーターなど経験多数。2010年企業ウェブ・グランプリBtoB部門「おしえて!アミタさん」受賞。学生へのCSRレポート普及などのプロボノとしても活躍。
Twitter:http://twitter.com/inoyoko1226
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