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廃棄物管理の社内監査を効果的に実施したいと思っています。どのような流れ、視点に注意して監査をすればよいでしょうか

アミタの製造所パトロール風景

法の順守・処理委託契約書・マニフェストの確認だけでなく、有価物の処分方法等も確認しましょう。 また、処理委託先に対する現地確認が適切な管理の上で実施されているかをチェックしたり、関係業者等の社外関係者からのヒアリングやアンケート等を実施し、どのような評価がされているかを調べることも重要です。

廃棄物管理の社内監査の流れ

廃棄物管理の社内監査の実施は

  • 事務所での書類・ヒアリング確認
    (関係者ヒアリング・手順・法解釈・書類の確認 等 )
  • 廃棄物管理現場での確認
    (保管・作業・分別ルールの状況確認 等)
  • 統括

といった流れが良いでしょう。 社内監査を始める際には、事業所内の廃棄物の状況が分かるように、関係する全ての従業員に参加してもらいます。そして、初めに社内監査の主旨・目的をきちんと説明しましょう。廃棄物管理には大きなリスクが潜んでおり、些細な勘違いやルール不徹底から大きな問題に発展することを理解していただきましょう。

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事務所で確認すること
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保管場所等の現場に行く前に、事務所で関係者へのヒアリングをして廃棄物管理の全体像を把握し、関係書類をチェックします。
・関係者の役割分担を確認

関係者がどのように廃棄物管理に関わっているのか、事業所長クラスの責任者、管理責任者、担当者、排出部門の担当者など、具体的な業務内容について確認しその事業所の廃棄物はどこが排出事業者となっているのかを確認します。

・取り扱い廃棄物一覧の確認

担当業務の人には廃棄物の概要を口頭で説明してもらいます。廃棄物の一覧表等と照らし合わせて、担当者がどの程度状況を把握しているのかを確認します。取り扱いがあるのに、担当者の当事者意識がない廃棄物は各種チェックが疎かになっている可能性があります。

・廃棄物区分根拠の提示

次に廃棄物が適切に区分分類されているかを確認します。 特に、事業系一般廃棄物、特別管理産業廃棄物、専ら物等判断を間違えやすいものについて、どういった根拠でその区分として判断したのか説明を求めることが大切です。市町区村・行政により同一のものでも判断が異なる場合があるので注意しましょう。

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・処理委託契約書、マニフェスト、帳簿類の確認

産業廃棄物の処理委託の際に必要な処理委託契約書・マニフェストには、記載が必要な事項が廃棄物処理法で定められており、かつ不備による罰則があります。実運用と記載内容に不整合はないか、法的記載事項がしっかり記載されているか念入りに確認しましょう。 また廃棄物を自社運搬・自社処理している場合は帳簿の記載が義務化されていますので該当する担当者は、帳簿の記載内容や運搬車両の備付書面内容等についても確認しましょう。

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・処理委託先の選定妥当性

処理委託先の業者選定方法の確認も重要です。 事業所の担当者による現地確認の報告書は、写真と簡単な説明があるだけで、「特に問題なし、委託継続」と書かれてある、単なる出張報告になっていることもあります。現地確認は、具体的なチェック項目や評価基準を設ける等、実効性・妥当性のあるしくみにする必要があります。

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・有価物の適正処理の確認

有価物についても、販売先でどのように利用されているのかを確認すべきです。有価物を取り出した後の残さが不適切に処理される事例もあります。廃電気電子機器の海外への輸出と現地での処理方法が問題になっていることも踏まえると、有価物であるというだけで管理の対象から外すべきではないでしょう。 他にも有価物とされているものについては、処理費以外の名目で費用が支払われている場合は、行政から脱法的とみなされる恐れがあるので注意深く確認しましょう。

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・法の順守状況の確認 廃棄物に係る関連法、たとえばPCB特措法や各種リサイクル法の順守状況も確認しましょう。EMS等で使われている順守評価表等の類似データがあればそれを用いて確認するのも良いでしょう。事業所ごとに、管理方法や法解釈にばらつきがあることもあります。特に法解釈を間違えると法律違反となりますので、社内関係者を集めて会社としての考え方をまとめたほうがよいでしょう。

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以上を廃棄物管理の現場を行く前に確認することで大まかな廃棄物管理の全体像が見えてくるかと思います。

廃棄物が保管されている現場で確認することとは
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次に廃棄物保管場所を直接確認しましょう。現場には様々な問題が露呈しているケースも多く注意深く観察することが重要です。ここでも確認した方が良い点をいくつか列挙します。
・廃棄物の保管基準の確認

事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(産業廃棄物保管基準)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。(法第12条第2項から抜粋)としています。具体的には、 ・囲いの設置 ・掲示板の設置 ・飛散、流出、地下浸透、悪臭発散の予防措置 ・汚水が発生する場合は排水溝や舗装等の設置 ・害虫の発生予防措置 ・屋外で容器を用いずに保管する場合は保管高さの制限 等を守らなくてはなりません。上記基準が満たされるような施設や対応がされているかをまずはチェックしましょう。

・廃棄物に関する保管ルール、作業ルール・分別ルールの確認

現場では廃棄物の実物を見ながら確認するとよいことがあります。 例えば、廃棄物は形状、重量、品質が不安定であるにもかかわらず、作業手順の整備や安全面の配慮が不十分なケースが多くあります。現場を歩きながら過去の事故やヒヤリハット事例を聞きつつ、再発防止策が取られているか、必要なルールが構築されているかを確認しましょう。 さらに、管理・分別状況を踏まえ、処理会社など社外の関係者から苦情や指摘を受けていないかもヒアリングします。

例えば、廃棄物の性状などが委託契約の内容と異なっていたり、異物混入があったりした場合に、苦情を受けたり、返品されたりすることがあります。最悪、処理会社の受け入れ停止に繋がったり、廃棄物の不適正処理につながる可能性もあるからです。 さらに、管轄の自治体が立ち入り調査に来ることもありますので、その時に注意された事項があればその後の対処についても確認してください。周辺住民の方との関係も重要なポイントです。

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・廃棄物保管場所の状況確認

さらに、廃棄物を保管場所から第三者が持ち出す可能性がないかも確認するとよいでしょう。使用可能な廃棄製品、金属等の有価物は、外部からの侵入者が盗難するリスクがあります。 特に、販促品など社名の入ったものは不正流通した場合のリスクが大きく、信用問題につながる可能性があります。保管場所が出入り口近くや敷地境界線に隣接している場合は、施錠状況やフェンス等の侵入可能性があるかを確認しましょう。

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廃棄物管理の社内監査のまとめ方

上記の社内監査が終了した後は、監査の総括をします。良い点があれば率直に褒め、継続実施を促し、悪い点があれば指摘した上で、主要な問題点を提示し、アドバイスをしてください。後日書面にまとめたものを送るとよいでしょう。また、まとめた内容は次回の社内監査でも振り返りをできるように報告書としてまとめ、改善がされているかを確認しましょう 。

なお、監査という形を取るのではなく、相談、情報交換会という形式の方がよい場合があります。本音で話しをすることができ、本当の問題点を抽出しやすくなるからです。

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執筆者プロフィール(執筆時点)
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堀口 昌澄 (ほりぐち まさずみ)
アミタ株式会社 環境戦略支援グループ
東日本チーム 主席コンサルタント(行政書士)



産業廃棄物のリサイクル提案営業などを経て、現在は廃棄物リスク診断・廃棄物マネジメントシステム構築支援、廃棄物関連のコンサルタント、研修講師として活躍中。セミナーは年間70回以上実施し、参加者は延べ2万人を超える。 環境専門誌「日経エコロジー」に2007年6月から2014年6月までの7年間記事を連載。環境新聞その他記事を多数執筆。個人ブログ・メルマガ「議論de廃棄物」も好評を博している。2014年より現職。日本能率協会登録講師。
<著書>
 「改訂版 かゆいところに手が届く 廃棄物処理法 虎の巻」 日経BP社
 「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」 環境新聞社

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