Q&A
廃棄物データシート(WDS)のガイドラインが改訂されたと聞きました。何か対応は必要ですか?
処理業者への情報伝達が適切にできているか、ガイドラインに沿って確認することをおすすめします。
なぜ、ガイドラインの改訂がされたのか?
平成24年5月、利根川水系の複数の浄水場において水道水質基準を上回るホルムアルデヒドが検出されました。この事案は、委託した産業廃棄物に含まれる化学物質の適正処理に必要な情報が排出事業者から伝達されなかったために、処理業者において十分な処理が行われず、原因物質が公共用水域に排出されたのが主な原因と考えられています。廃棄物情報の提供に関するガイドライン―WDSガイドライン―(以下「本ガイドライン」という。)は、このような事態の再発を防止するため、また、本ガイドライン第1版発刊後の法改正等の内容を反映させるため、平成25年6月に改訂されました。また、これに伴いWDSの様式も一部が変更されました。
産業廃棄物の排出事業者は、適正処理のために必要な廃棄物情報を処理業者に提供しなければなりません(廃棄物処理法12条6項、同法施行規則8条の4の2第6号等)。本ガイドラインは、排出事業者による産業廃棄物情報の提供の望ましいあり方を示すものですので、自社の情報提供の方法・内容を一度本ガイドラインに沿って検討し、もし情報提供が不十分と思われる場合は、WDSの様式変更等、運用を見直すのがよいでしょう。
今回は、本ガイドラインの中で大きく改訂された4つの内容※1から、WDSの様式に関わる「(1)情報提供が必要な項目の追加」と、補足が必要な「(3)対象廃棄物の整理」について説明します。
- 情報提供が必要な項目の追加
- 双方向コミュニケーションの重要性を強調
- 対象廃棄物の整理
- 情報提供の時期
情報提供が必要な項目の追加とは
処理会社へ情報提供をする項目として追加されたものは、「PRTR対象物質」「水道水源における消毒副生成物前駆物質」「関連法規」の3つです。適正処理のために処理会社へ情報を伝える必要のある項目として追加されているので、WDSの様式にも反映されています。
項目 | 伝達する内容 |
PRTR対象物質 | PRTR対象物質の排出量・移動量の届出を出しているか、委託する廃棄物にPRTR対象物質が含まれているかどうか、含まれている場合どのような物質か |
水道水源における消毒副生成物前駆物質 | ホルムアルデヒドを生成しやすい8物質※2が含まれているかどうか |
関連法令の規制対象物質 | ガイドラインで提示されている関連法令の規制対象物質が廃棄物中に含まれる可能性があるかどうか、ある場合どのような有害特性か |
※2 参考) 厚生労働省ホームページ 水道水源における消毒副生成物前駆物質汚染対応方策検討会 参考資料3
対象廃棄物の整理とは
本ガイドラインは、委託する(特別管理)産業廃棄物全般が対象とされています。 もっとも、WDSによる情報提供が推奨されている主な適用場面は「汚泥」「廃油」「廃酸」「廃アルカリ」の4品目についてです。これらは、排出事業者や処理会社へのアンケートを元に、廃棄物の中でも含有成分や有害特性がわかりにくく、ヒヤリハットや事故が多い廃棄物の種類とされています。その他の廃棄物については、WDS以外の他の方法、すなわちMSDS、サンプル、写真、分析表の提示等を組み合わせることで必要な情報を提供できる場合があるとされています。
この本ガイドラインの改訂は、WDSさえ交付すれば情報提供として十分であるとか、4品目ではないからWDSは交付しなくてよいということではありません。大切なことは、このWDSガイドライン改訂の趣旨も踏まえ「適正処理のために必要な情報を排出事業社から処理会社へ提供する」という意識を強化することです。この改訂をきっかけに、日々の処理会社とのコミュニケーションについて見直されてもよいでしょう。
※ガイドライン詳細は「廃棄物情報の提供に関するガイドライン(第2版)」をご確認ください
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