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CSR上の「人権」、重要性がいまひとつ分からないのですが...

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CSR活動でいう「人権」の取り組みには、例えば、ハラスメントや差別の防止・安全な労働環境の確保等があります。社内の人や調達先の人に向けた活動の効果として、人材の確保やモチベーションの向上、安定した取引等につながると認識されてきています。

一方で、社内や調達先の人「以外」に向けた人権の取り組みは、ほとんど具体的なイメージができない、という方も多いのではないでしょうか。実は、人権の取り組みの価値のひとつに、「新しい市場へアプローチできる」という点があります。

そこで今回は実例を2つご紹介します。

性的マイノリティの人々:LGBT市場

LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル(両性愛の人)、トランスジェンダー(性同一性障害の人)の頭文字です。2007年の日経ビジネスでは、

  • 日本のLGBT市場は年間6兆6000億円である
  • 日本人口のうち274万人が同性愛で、20~59歳の人口比では4.0%に相当する

との調査結果が紹介されており、大きな市場といえます。

企業はこうした人々に配慮したり、マイノリティ故の苦労や悩みを解決・緩和する、または好みに合うような商品・サービスを提供することによって、LGBT市場にアプローチすることができるようになります。具体的に下記の事例が出てきており、日本企業での対応例も少しずつ増えています。また、ソフトバンクモバイルの記事ではインタビューに応えているのがマーケティング関連の部署の方であるというところが、LGBT市場が有望であることを物語っているように思います。

経済的に困難な状況にいる人々:BOP市場

BOP(Base Of the Pyramid)層とは、年間の所得が購買力平価ベースで3,000ドル以下の開発途上国の低所得層を指し、JETROによると約40億人がこの層に含まれていると言われています※。このような人々の需要に応える商品・サービスを提供するのが、BOPビジネスと呼ばれます。(最近ではインクルーシブ・ビジネスとも呼ばれます)

日本では、経済産業省も後押しして、日本企業にとっての新市場として開拓していこうとしており、住友化学の事例が有名です。

新しい市場へのアプローチの意義

LGBTやBOPといった、自社にとって新しい市場へアプローチを進めることは、人権の取り組みとして意義があるだけでなく、本業で社会的責任を果たす機会になります。また「これまでは顧客になると思っていなかった人々」や「そもそも、そのような人がいることをしっかり考えたことがなかった人々」の立場に立って考える機会が得られるという面で、社員教育の観点からも意味があると考えられます。

このようにCSR活動を本業への貢献につなげていくことで自分たちの企業イメージを向上させることができ、更に、それをしっかりと認知させる活動が重要になってくるのです。

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執筆者プロフィール
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渡邉 文隆
アミタホールディングス株式会社
経営統括グループ 共感資本チーム

京都大学総合人間学部卒業。デジタルハリウッド大学大学院修了。2000年から国内外のNPOでファンドレイザー/プロジェクトリーダーとして活動。現在はアミタで環境ビジネス、CSR活動やNPOのウェブ戦略/マーケティング支援に携わる。アックゼロヨン・アワードや企業ウェブ・グランプリ等のウェブ関連アワード、論文等で複数受賞。

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