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2010年10月、名古屋でのCOP10開催に向けて、企業の取り組みが加速していると聞きますが、実際どんな取り組みがありますか?

様々な業種の企業が、ガイドラインの策定や生き物調査等、各事業内容に即した取り組みを行っています。例えば、以下のようなものです。

食産業における取り組み

主に原材料の調達において、生物多様性に大きく関わる食産業では、生物多様性保全のための取り組みも様々に進められています。

例)外食産業A社

レストランチェーンを展開するA社は、生物多様性の保全と持続可能な利用を推進するため、以下のような取り組みを行っています。

  • 生物多様性の保全に資する活動として、(農業生産で使用している)外来昆虫の使用禁止と駆除活動を実施
  • 持続可能な利用に資する活動として、省農薬米への取り組みや、田んぼでの生き物調査を実施
  • 生物多様性の浸透に資する活動として、シンポジウムの開催や、イベント的な調査・駆除活動を実施
住宅産業における取り組み

大量の資源利用や造成工事を伴う住宅産業は、生物多様性に与えるインパクトも大きくなります。

例)不動産B社

B社は従前より資材調達や開発に際し、自然環境保護を重視した対応を取ってきましたが、近年はより高度な環境経営施策のため以下のような取り組みを行っています。

  • 「生き物とつながる庭づくり」:生き物にとって活用価値の高い自生種や在来種を庭や街路に植える造園・緑化
  • 「木材調達ガイドライン」:生物多様性保全を重要な柱として、多面的に木材を数値評価することによりサプライチェーンと連携して調達レベルを高める仕組み
製造業における取り組み

製造業は、原材料の調達、製造、輸送等、その過程の多くの点で生物多様性へ影響を与えています。全社的・客観的な生物多様性への取り組みのため、自ら事業活動のガイドラインを策定する企業も少なくありません。

例)自動車メーカーC社

C社は、生物多様性の重要性を認識し「住みよい地球・豊かな社会の実現と、その持続的な発展を目指し、自動車・住宅事業、新規事業、社会課題への貢献等において、生物多様性に取り組」む、としています。主には、以下のような取り組みを掲げています。

  • 技術による貢献:バイオ・緑化技術、環境技術等の可能性を追及することにより、生物多様性と企業活動の両立を目指す。
  • 社会との連携・協力:政府・国際機関・NPO等、生物多様性に関係する社会の幅広い層との連携・協力関係を構築することを目指す。
  • 情報開示:企業活動と両立する生物多様性に関する自主的取組みや成果を開示することにより、広く社会と共有し、持続可能な社会の発展に寄与することを目指す。


2010年のCOP10は、大きな節目となる会議です。2002年のCOP6にて採択された「2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」という「2010年目標」の目標年であり、以降の次期目標の枠組みを提示する会議となるからです。

先進的な企業は枠組みの策定に先駆け、いち早く生物多様性に取り組み、リスクを低減するとともに、企業の社会的な価値を向上させています。

環境省からは、企業の生物多様性への関わり方を示した「生物多様性民間参画ガイドライン」の公開が予定されています(2009年8月現在)。自社での取り組みを検討するにあたり、ご参考ください。

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