コラム
土壌汚染対策の具体例1 法令に準拠しただけの
調査結果は汚染有無の参考でしかない知って得する、土壌汚染の新常識
前回までは、効率の良い調査手法と本当に必要な調査結果とは?ということで、土壌汚染の浄化に不可欠な正しい調査結果を導く調査手法についてお話させていただきました。今回と次回は、これまでお伝えしてきた本来あるべき土壌汚染調査に基づいて調査してきた事例をご紹介します。
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使用履歴の範囲外の土壌汚染リスク
下記図はある工場の敷地を調査した結果です。この工場は、君津システムで調査をする前に、土壌汚染対策法に準拠した手法で調査が行われていました。使用履歴に基づき法令に準拠した手法で、下図の点線で囲まれた部分のみを対象とした調査と浄化が継続されていましたが、敷地全体の汚染浄化は一向に進展しませんでした。
法令に準拠しただけの調査結果は汚染有無の参考でしかない
君津システムでは、使用履歴に関わらず敷地全体を調査対象とし、前回の調査範囲を含めた再調査を実施しました。その結果、上記の図に示すように従前業者の浄化範囲内に汚染が残留したままで、加えて調査範囲外のところに地下浸透部位(ホットスポット)が確認されました。相当費用と長期間を費やした調査と浄化作業は何だったのかと指摘されても仕方ありません。
この調査結果に基づき、汚染浄化のための精査を重ね、土壌汚染と地下水汚染に最適な君津システム保有の原位置浄化手法を駆使して、浄化開始から19ヶ月で完全浄化を達成することができ、所掌行政庁の確認も得ることができました。
この事例からわかるように、法令に準拠した手法だけでは汚染の実態を見誤り、結果として膨大な浄化費用や汚染の取り残しを覚悟しなければなりません。法令に準拠した調査結果は汚染有無の参考でしかなく、正しいリスク評価には結びつかないのです。
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執筆者プロフィール
鈴木 喜計 (すずき よしかず) 氏
君津システム株式会社
代表取締役
1973年君津市役所に入所。31年間公害問題の調査研究・技術開発に従事し、土壌・地下水汚染の調査手法や浄化技法の開発・検証・普及に努める。
いままでに実施した地質汚染調査・浄化の実績は海外を含め100件を超え、240もの学術論文/研究発表、13巻の著書(共書)を持つ。その専門性が認められ、平成9年に起こった日本初の地下水汚染事件での鑑定人や平成14年土壌汚染対策法での国会参考人を担当、土壌環境基準設置委員(環境省)、廃棄物処理法改正委員なども歴任した。平成16年に「君津システム株式会社」を起業し現在に至る。
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