コラム
効率の良い調査手法と本当に必要な調査結果とは?【前編】知って得する、土壌汚染の新常識
前回、有機溶剤の漏れや垂らしによる汚染の影響範囲は、多くの場合直径5mの範囲に収まってしまい、5mよりも大きな調査メッシュでは汚染を見落とす可能性があることをご紹介しました。今回は、汚染物質の特性に合わせた効率の良い調査手法と、浄化をするために本来必要な調査結果について、有機溶剤による汚染を例にとってご紹介します。
履歴の確認までが必要
君津システムによる有機溶剤の土壌汚染調査では、大きなメッシュで見落とす可能性のある調査を、メッシュは5m未満に設定し、更に見落としがないように使用履歴に関わらず敷地全体を調査対象とします。人の記憶ほど曖昧なものはありませんので、調査後に使用履歴と照らし合わせ確認をします。
ここで気になるのは、費用のことだと思います。
調査地点数が増えれば費用も増えると思ってしまいがちですが、君津システムでは1地点あたりの調査費用と調査時間を大幅に減らした「グラウンド・エア・システム(R)」を活用しています。この手法の特長は・・・
- 地面を掘削することなく地下空気汚染調査(スクリーニング調査)ができる。
- 調査に要する時間は,1ヵ所あたり1~5分。
- コンクリート,アスファルト,裸地等,地表面の状態に関係なく調査ができる。
- 自然状態では検出できない汚染物質も検出できる。
- 工場内など、占有スペースが小さく,狭隘な場所にも適応できる。
- 生産活動を妨げることなく、調査を行える。
- 1名でも調査ができ台車1台で移動可能できる。
上記のことから操業中の工場でもラインを止めることや、床に穴を開けることなくスクリーニング調査が可能です。更にその日の内に結果が出ますので、翌日の作業を効率良く行うことができ、結果的に全体的な作業時間の短縮につながります。
また、従来法として「君津式表層汚染調査法」があります。こちらは直径13ミリ、深さ85センチの穴を開け、その中に検知管を挿入して地下空気汚染調査をするものです。グラウンド・エア・システムと合わせて調査することで、より詳細に調査できます。
調査の結果
これらの技術により、レントゲン写真を撮るように表層における土壌汚染の状態がはっきりとわかるようになり、以降のステップも効率良く進められることなります。
次回「効率良い調査手法と本当に必要な調査結果【後編】」では、調査で得られる結果について解説します。
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執筆者プロフィール
鈴木 喜計 (すずき よしかず)
君津システム株式会社
代表取締役
1973年君津市役所に入所。31年間公害問題の調査研究・技術開発に従事し、土壌・地下水汚染の調査手法や浄化技法の開発・検証・普及に努める。
いままでに実施した地質汚染調査・浄化の実績は海外を含め100件を超え、240もの学術論文/研究発表、13巻の著書(共書)を持つ。その専門性が認められ、平成9年に起こった日本初の地下水汚染事件での鑑定人や平成14年土壌汚染対策法での国会参考人を担当、土壌環境基準設置委員(環境省)、廃棄物処理法改正委員なども歴任した。平成16年に「君津システム株式会社」を起業し現在に至る。
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