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処理委託契約書について学ぶ(その2) ―わかりにくい記載事項の代表例・・・「含有マーク」とは?BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

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前回は、委託契約書の記載事項等について紹介しました。

さて「委託契約書の文章を逐一吟味した」という方は少ないかも知れません。私も、いくつかの生命保険に入っていますが、正直言ってあの契約書を読んだことはありません。

多くの皆さんも、産廃の委託契約に当たっては、廃棄物のプロである処理業者が持参した契約書にそのまま署名捺印している、というのが実態ではないでしょうか?

前回も述べたとおり、委託契約書は排出事業者の義務であり、許可業者の義務ではありませんので、法定事項が盛り込まれているか等、最低限チェックをしておくことが必要です。

しかし、ここで困ったことが起こります。法定事項を条文で確認された多くの方が感じたかもしれませんが「法律の条文は何を言いたいのか?」がよくわからない場合があるのです。 今回は、そうした分かりづらい例を見てみましょう。

「含有マーク」付き廃棄物の記載方法は?

「含有マーク」というのは、家電製品に鉛などの有害とされる金属が使用されている部品が使用されている時に添付が義務づけられているものです。

例えば、次の条項はどうでしょうか?(まずは、法令通りの表現を掲載します)

(委託契約に含まれるべき事項)

第八条の四の二  令第六条の二第三号 ホ(令第六条の十二第三号 の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。
(1~5略)
六  委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報
(イ~ハ略) 
ニ 当該産業廃棄物が次に掲げる産業廃棄物であつて、日本工業規格C〇九五〇号に規定する含有マークが付されたものである場合には、当該含有マークの表示に関する事項

  • (1)廃パーソナルコンピュータ
  • (2)廃ユニット形エアコンディショナー
(以下、(7) まであり)

順番に見ていけば、まず「適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報」なんですね。「事項」そのものではなく「情報」の記載が必要とされています。この条文について記載内容を考えてみると、含有マークが付されているものである場合には「含有マーク有り」という「事項」ではなく、例えば「この含有マークの大きさは3センチ角で黄色です」といった「情報」を書くことになるのでしょうか?

しかし、これは「契約書」の記載事項であって、マニフェストの記載事項ではありません。マニフェストなら実際に排出される産業廃棄物を見て「このパソコンについている含有マークは黄色・・・」のように記載できるが、契約書はたいてい現物が排出される前に「年間契約」のような形で締結される場合が多いわけですから、先にマークについて記載することは不可能ですね。

このように、細かい点ですが条文のままだとどのように記載をすればよいか、分かりづらいケースがあります。この件については、実際の運用としては「含有マークが付された家電製品を排出する際は、あらかじめ文書で通知する」のような対応をしている排出事業者のご担当者様が多いと思います。

なお、(社)全国産業廃棄物連合会で出している標準委託契約書では、この「含有マーク」に関する契約条項は次のような文言にしていますので、参考にしてみてください。みなさんの会社から「含有マーク」付きの廃製品が排出されたときに、ちゃんと契約書に基づいて「あらかじめ書面をもって」処理会社へお知らせしていますか?

(社)全国産業廃棄物連合会発行標準委託契約書から抜粋
第3条(適正処理に必要な情報の提供)
1.甲は、産業廃棄物の適正な処理のために必要な以下の情報を、あらかじめ書面をもって乙に提供しなければならない。以下の情報を具体化した「廃棄物データシート」(環境省の「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」(平成18年3月)を参照)の項目を参考に書面の作成を行うものとする。
  • ア)産業廃棄物の発生工程
  • イ)産業廃棄物の性状及び荷姿
  • ウ)腐敗、揮発等性状の変化に関する事項
  • エ)混合等により生ずる支障
  • オ)日本工業規格C0950号に規定する含有マークが付された廃製品の場合には、含有マーク表示に関する事項
  • カ)石綿含有産業廃棄物が含まれる場合は、その事項
  • キ)その他取扱いの注意事項
排出事業者の経常的な責務を把握する

このように、産業廃棄物の委託契約書は「締結さえして、あとは処理料金を支払えば終わり」というものではなく、排出者事業者にも経常的な責務がある内容となっています。ぜひ、あらためて委託契約書や条文を読み返して、自社のコンプライアンス体制を見直してみてください。

次回は、契約違反は法令違反になるのか?という点について、考えてみたいと思います。

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執筆者プロフィール

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
株式会社アミタ持続可能経済研究所 特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も勤める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。 元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)

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